その後。

我が弟のその後、ですがもう一波乱ありました。


出血がひどく詰め物をした、というところは書いた……はず。
前の日記を見ろよ、という的確なアドバイスは却下します。面倒くさい。
その詰め物を翌日取った、ということは書いた……っけな? 


8日の木曜に手術をして、金曜に詰め物取って、土曜日も診せに行きました。
日曜。そこの病院は休みで、そして月曜日。



奥の方の詰め物を取り忘れていたことが判明。



妙な茶色い液体が耳から出てきてるのを不審に思った母が四度医者に行って判ったことです。
血でくっ付いているだけでなく、医者の口からは「腐りかけ」だの「壊死」だのという単語が飛び出します。


とりあえず乾燥させて経過を見ましょう、とのことで乾燥させるための粉薬を購入してその日は帰宅。
そしてその薬をいったん洗い流すために毎日通院せねばならないとのこと。


その薬を見て夏場に駐車場に撒いた蟻駆除の粉薬を思い出した私。


月曜、火曜と私は病院に一緒に行けなかったのですが、水曜は一緒に行って……びっくりしました。


その「洗い流す」と言う作業に。


生理食塩水を、パックから直接(この点は衛生上納得できるのですが)だばだばと耳の穴に注ぎ込むのです。
豪快、とか大胆、とかそう言うレベルではありません。
そして洗い流した後に詰め物の除去を試みる……乾燥させ(ようとし)た意味ないやんっ


そんなツッコミは心にしまって(大人ですから)弟の拘束に精を出します。
家では痛がってか嫌がってか、耳を触らせてくれないので患部をしっかりと見ておこう、と覗き込むと……結構でっかい物体が見えています。それこそ小指の先程の大きさの紙っぽいモノです。……これを、気付かなかったのか。


医者はピンセットでつまんで引っ張ろうとしますが、滑る上に癒着してしまっていて取れません。
ピンセットの先程の量が千切れ、その日の診断は終了。
「様子を見ましょう」と言うお決まりのセリフで。まぁ、わからなかったり対処のしようがなかったりしたら様子を見るより仕方ないのはわかるのですが。


この術後の件はぶっちゃけ、医療ミスです。
訴訟を起こそう、とか医者人口を減らそうとする気はないのですが、「すみません」の一言もない医者に母がブチ切れる数秒前。おまけに保険がきかないので(今では犬猫用の保険もありますが、知ったころにはウチのは年齢制限に引っ掛かっていました)金もかかります。


ご立腹の母を宥める意味も兼ねて「一度他所で診てもらったら」と進言。
気分はFA宣言をしたばかりの某中日選手。


「他の評価を聞いてみたい」


というわけで。
そこと同じような処置をしたのであれば、そのまま諦めて今の医者に通えばいい、と思ったのです。


で、微妙に行動力のある母は知り合いから聞いていた評判の病院に電話をかけ、事情を話して診てもらえるかを確認。その日、水曜の夜に連れて行きました。


そこの病院、規模は今まで行っていたところと同じような町医者ですが、いくつか(当然のように)異なる点がありました。


一つ。ボロい。
看板の塗装が剥げ掛かっていたり、往来に面した看板の蛍光灯の半分は切れていたり。
中も良く言えば、昭和と言う時代を感じさせる風合いです。
診察台も以前のところより明らかに旧型。
どことなく……というか明らかに雑然とした空気がそこにはありました。



二つ。診療時間が長い。
以前のところの診療時間は7時まででしたが、ここは8時まで。そして、日曜、祝日も午前中は開業してます。
どうやら先生が3人みえるらしい。
行ったときは一人だけでしたが。


三つ。駐車場が広い。
病院の前に3台ほどの駐車スペースがあるのですが、それ以外に10台以上停められる専用駐車場が隣にありました。


四つ。看護婦さんが多い。
いや、別に変な意味ではなく、単純に人数の話です。こっちの方が若かったとか美人が多かったとかそういう問題ではなくて。


三つ目と四つ目の共通点は、「そこに金が使えるほど儲かっている」ということ。


あぁ、はやってんだなー、とか考えながら土間をそのまま広くしたような待合室で待つこと20分。
里親探し中の子猫のダンス(ウチのに興奮してゲージに飛びついているだけ)を見たり、柱にくっつけてある「鳥獣保護地域」というプレートに思わず笑ってしまったり、看板猫であろう老猫に尻尾を振る弟を見て驚いたり(この14年間、吠え掛かることはあっても猫に尻尾を振ることはなかったのです)。


そして診てもらった結果。


「何が詰めてあるんだ……?」と耳の中に溜まっていた茶色い液体をふき取り、例の紙のようなものを露出させます。
癒着している事実は変わらなかったのですが、その中年の医者は別件について問いかけてくる看護婦に対処しつつ、ペースト状の麻酔薬(歯医者で麻酔を打つ前に塗るようなもの)を使って詰まっていたものの八割方切り取ることに成功したのです。


残った部分は「肉が盛り上がってきたら取れやすくなるからそこまで様子見」とのこと。
無理そうだったら早々に麻酔をもう一度かけて取ります、とも。
「でも、これなら治りますよ」との心強い台詞がオーディエンスの心を鷲掴み。
茶色い液体が出る、と私が言うとそこへきて「あぁ、詰まっていたのはソレか。懐かしいなぁ」とのたまうのです。どうやら分泌物を出す紙のようなものがあるらしく、最近では使う医者も減っているという話。
なのでその分泌物そのものは問題のあるものではないそうな。


しかし、そこで疑問がわいたのです。
もし、詰まっていたのがその分泌物を出す医薬品であるならば、なぜ前の医者(仮にA医者とす)はそのことを知らなかったのか。知っていたら「乾燥させよう」なんて言わないはず。
そしてもし、詰め物がただの紙のようなもので腐って汁を出していたのだとしたら……この医者(仮にB医者とす)はそのこともわからないボンクラ、ということになります。


私が「奥の方で、動脈の上に腫瘍が」という話をすると「あぁ、腫瘍に動脈とか関係ないから」と一刀両断されました。一蹴でもOK。
「その腫瘍、本当に良性だったのかなぁ」などと(腫瘍できかけの頃の休日に休日診療している別の医者に腫瘍の検査だけ頼んだことがありました)不安になるようなことを言われたりもしました。


どちらを信じればいいのか。
母親殿はほぼ無条件でB医者を信じてますが。
とりあえず、外科の腕だけで言えばB医者の方が上なのは一目瞭然です。


そしてその日を境に弟の具合が目に見えて良くなりました。
翌日から食欲も二次曲線のように上昇し、尻尾を振ってくれたりもします。


と、いうか先週懸念していたとおり、食欲が以前と同じレベルにまで戻ってきてしまいました。
食べてくれるのは嬉しいんだけどね、うん。


日曜現在、未だ少量の詰め物も分泌物も残っていますが、耳の痛みはだいぶん引いてきたようで、本復まであと少し。


あぁ、三安心くらい安心しました(意味不明)。



一応まだ抗生物質と抗炎症剤は服用していますが、注射はなくなりましたし、薬による食欲減退もありません。


ふー。