手術。


今週の木曜日。
私の弟(犬・雑種・14歳9ヶ月)が手術をしました。
耳の中にできた腫瘍の除去が目的。


腫瘍そのものは良性とのことでしたが、腫瘍が予想をはるかに上回る速度で成長し、耳の穴を塞いでしまったのです。
それだけならまだしも、腫瘍の成長を抑制するための点耳薬が密閉された耳の奥に溜まって異臭を放つように。


腫瘍のできはじめに提示されていた手術は耳の入り口の一部(耳たぶと反対側の)ごとごっそり除去する、というものでしたが、高齢を理由にこれは(医者も)断念。
良性で点耳薬で大きくなんのを抑えられるならこのままでもいっか、と当時(数ヶ月前)は思っておったのです。


今回行ったのは腫瘍のみをレーザーメスで除去するというもの。
これですと余分な肉は切らなくてもいいのですが、再発の可能性が残るそうです。
再発しても体の負担が少ない方が良いと、我が家の人間も全会一致。
知らぬは本人ばかりなり。


手術そのものは(ついでの歯石除去も合わせて)50分程度のものでした。
摘出した腫瘍は私の小指の関節一つ分くらい。
かなり奥の方でできていたようで、当初はレーザーで焼いて止血するところを圧迫による止血に留めざるを得なかった、とのこと。
しかもこの腫瘍が動脈の上にできていたらしく、成長が早かったのもそのせいだと言われました。
で、動脈から切り離したわけですから出血もひどく、結局完全に止まったのは翌日でした。
手術50分のうち30分は止血の作業だったそうです。
「耳からの出血で出血多量で死ぬことはないけれど……」とは言われましたが。


今考えたら、当初の術式予定だと耳の入り口どころか耳の大半も一緒に切除せねばならんかったんじゃ……


ウチのはこの14年間ゲージなどと言うのものに慣れさせていないので(座敷犬)、術後そのまま家に連れて帰りました。
14年来の付き合いでもある掛かり付けの医者もそこらへんはわかってます。
一応「出血のこともあるから一晩泊まっていってくれた方がいいんだけど」と言われましたがその程度のことで諦めるようなウチの母上ではありません。
医者の携帯番号を教えてもらっていざとなったら電話する、ということで(一分待たずに)決着。


手術後の台の上の我が弟は死んでしまったのでは、と思ってしまうほど(麻酔で)くったりとしていて……
抱きかかえるのも一苦労。
帰りの車の中でいびきを聞いたときは「あぁ、生きてる」とほっとしたものです。


麻酔が切れた後はとにもかくにもおしっこの世話が大変でした。
本人はいつもどおりトイレに行ってしようと起き上がろうとするのですが、麻酔が残っていてうまく立てない。
こちらは使い古しのタオルを大量に準備していて寝てるところでそのまましてもらっても問題なかったのですが、本人が嫌がる。
(嫌がって)なんとも悲痛な声で鳴くのがおしっこの合図で、夜中一時間おきくらいに起こされましたが、その鳴き声のおかげで大事(?)には至りませんでした。


現在は投与されている抗生物質のせいなのか歯石除去で歯が痛いのか、食欲が格段に落ちてはいますが、少しずつ食べるようにもなり、歩けるようにもなってきました。
元通りに元気になるのは、もう少しだけ時間が掛かりそう。


しかし、本人にとっては驚天動地……は意味が違うな。とりあえずとんでもなくびっくりした出来事だったでしょう。
医者で鳴き声をあげるほど痛い注射(麻酔)をされて気がついたら耳の中は変だわ、身体は思い通りにならないわ、口の中も何かおかしいわ(医者が歯石除去のときに使ったらしい紙が口の中に残っていたため)と。


あぁ、自分がこの立場だったらめっちゃ怒っとるだろうなぁ、と考えると怒りもしないウチの弟の寛大さに頭の下がる思いです。
怒る元気もないのか。


とりあえず、早く元の食欲……に戻ったらやっぱり大変なので(最近太り気味の16キロ)、少し抑え気味くらいの食欲に戻ってもらいたいものです。